大阪府大阪市福島区に建つ「ゲートタワービル」は、1992年に竣工した、ビルの中を高速道路が貫通するという世界でも類を見ない構造を持つ「日本初」の建築物である。この16階建てのオフィスビルの5階から7階部分を、阪神高速道路11号池田線の梅田出口が文字通り突き抜けている。このユニークな構造は、もともとこの土地の所有権を持っていた企業と高速道路の都市計画が重なったことから、両者の権利を調整する画期的な解決策として「立体道路制度」を活用して実現した。ビルと高速道路は互いに接触しない構造になっており、騒音や振動対策も施されている。このビルは、都市開発における法規と技術の創造的な応用例として、日本の建築史において特筆すべき存在なのである。