2022年3月28日、埼玉県和光市にある国立研究開発法人理化学研究所（理研）は、日本の基礎科学研究において歴史的なマイルストーンを達成した。同研究所の仁科加速器科学研究センターが誇る超伝導リングサイクロトロン（SRC）が、ウランビームを82400メガ電子ボルト（MeV）というエネルギーまで加速させることに成功し、サイクロトロンとしては「日本一」のビームエネルギー値を記録したのである。この成果は、新しい元素の発見や宇宙の謎の解明につながる、原子核物理学の研究を大きく前進させるものである。日本の加速器技術の粋を結集したSRCは、世界トップクラスの性能を誇り、国内外の研究者に利用されることで、人類の知のフロンティアを切り拓き続けているのである。