北海道根室市の納沙布岬に鎮座する納沙布金比羅神社は、日本本土で最も東に位置する神社である。この神社は、海の安全を守る金刀比羅宮を祀ると同時に、特別な役割を担っている。それは、戦後ソ連に占領された北方領土にあった11社の神社の御神体を、元島民たちが身を挺してこの地に移し、合祀していることである。そのため、この神社は故郷に帰れない元島民たちの心の拠り所であり、北方領土返還を祈る祈りの場となっている。日本で最も早く朝日が昇るこの場所は、まさに日本一東にあるだけでなく、平和への願いが込められた特別な神社なのである。