陸前高田市の海と貝のミュージアムにおいて目玉展示であったツチクジラの剥製標本は、東日本大震災の大津波の直撃を受けた。約２か月半後の２０１１年５月２８日、海洋哺乳類を研究していた山田さんががれきをかき分けて中に入り、「つっちぃ」を発見した。剥製は、全身が強化プラスチックに覆われていたが、背びれ付近には大きな傷がついていた。山田さんは、損傷の激しい左側面のプラスチックをはがしてクジラ本来の皮膚を見せる一方、「津波被害を後世に伝えたい」と右側はそのままにする修復方法を考案した。国立科博物館筑波研究施設での修復作業後、令和4年11月に海と貝のミュージアムと合築して新設された陸前高田市立博物館にて展示されることとなった。