斉藤澄子は1934年に東京競馬倶楽部の騎手試験を受けたものの「女性騎手は風紀上問題がある」という理由で不合格とされた。斉藤は京都競馬場に移り修行を続けた。京都競馬倶楽部の関係者は女性騎手に理解を示し、斉藤は1936年3月に同倶楽部の騎手試験に合格。ただ、1937年に日本競馬会が発足すると、同会の規則に「騎手にありては満十九歳以上の男子」との規定が盛り込まれ、斉藤は騎手免許を剥奪された。その後斉藤は調教師・谷栄次郎の厩舎で、次いで中山競馬場の加藤朝次郎厩舎で厩務員として働いたが、肺血腫を患い29歳で死亡した。斉藤は、騎手に一度はなりながらも、人生で一度もレースで騎乗することはなかった。