平成筑豊鉄道が運行する門司港レトロ観光線の「潮風号」は、最高時速15kmという日本で最も遅い速度で走るトロッコ列車である。福岡県北九州市の門司港レトロ地区を走り、九州鉄道記念館駅と関門海峡めかり駅間の2.1kmを約10分かけて結ぶ。この速度は一般的な自転車とほぼ同じであり、乗客は関門海峡の雄大な景色や歴史的な建造物が並ぶ街並みを、急かされることなくゆっくりと車窓から満喫することができる。この日本一の遅さは、単なる移動手段としてではなく、観光地である門司港のレトロな雰囲気を五感で味わうための体験そのものを提供している。また、ルートの途中にあるトンネル内では天井に海の生き物が映し出されるといったユニークな演出もあり、子供から大人まで幅広い層に愛される観光列車となっている。