30号棟は、長崎県長崎市の端島（通称：軍艦島）に1916年（大正5年）に建設された集合住宅である。三菱鉱業によって炭鉱労働者のための社宅として建てられたこの建物は、日本初の鉄筋コンクリート造のアパートとして知られている。地上7階建てで、当時は高層住宅の先駆けであった。台風や塩害から建物を守るため、ロの字型の中庭を持つ構造や屋上庭園など、過酷な環境に対応するための工夫が凝らされていた。日本の住宅史、建築史において画期的な存在であり、軍艦島の繁栄を象徴する建造物の一つとして、現在は世界文化遺産の構成資産となっている。