百万塔陀羅尼（ひゃくまんとうだらに）は、奈良時代の770年に、称徳天皇が国家鎮護を祈願して制作させた、現存する日本最古の印刷物である。藤原仲麻呂の乱（恵美押勝の乱）の平定後、犠牲者の冥福と国家の安寧を願って、小さな木製の三重の塔（百万塔）を百万基作り、その中に陀羅尼（だらに）という仏教の経文を印刷したお札を納めた。この陀羅尼は木版印刷で大量に作られており、年代が明確な印刷物としては、世界的に見ても最古級のものである。まさに日本一古い印刷物として、印刷技術史における金字塔である。