荻野吟子は、1885年（明治18年）に医術開業試験に合格し、日本初の公許女性医師となった人物である。埼玉県に生まれた彼女は、夫からの性病感染とその治療の際に、男性医師に診察される屈辱を経験したことから、女性が安心してかかれる女性医師の必要性を痛感し、自ら医師になることを決意した。しかし、当時は女性が医師になる道は閉ざされており、医学校への入学も、受験資格を得ることも、数々の障壁に阻まれた。それでも彼女は諦めず、請願を重ねてついに受験を許可され、見事合格を果たした。この快挙は、女性の社会進出の扉を大きく開くものであり、まさに日本初という偉業であった。同年、東京に「産婦人科荻野医院」を開業し、多くの女性患者を救った。