作家の中里恒子が、1939年上半期（昭和14年）に小説『乗合馬車』およびその他の作品で第9回芥川龍之介賞を受賞し、日本初の女性受賞者となった記録である。芥川賞は1935年に創設されて以来、男性作家のみが受賞してきたが、中里の受賞は、この文学賞の歴史に新たな1ページを刻んだ。受賞作では、国際結婚をテーマに、冷静な筆致で人間模様を描き出し、高い評価を得た。この日本初の快挙は、女性作家の社会的地位の向上に大きく貢献し、後の世代の女性たちが文学の世界で活躍する道を切り開く、象徴的な出来事となった。