1896年11月25日、神戸市にあった社交クラブ「神港倶楽部」にて、トーマス・エジソンが発明した映像鑑賞装置「キネトスコープ」が、日本で初めて一般に有料公開された。これはスクリーンに投影する形式ではなく、箱を覗き込んで映像を観る個人向けの装置であったが、動く映像を体験できる画期的な発明品であった。この出来事は日本における映画文化の黎明を告げるものであり、日本の大衆が初めて映像という新たなメディアに触れた記念すべき瞬間である。この日本初の映画上映は、後の映画産業の発展の礎となり、日本のエンターテインメント史において極めて重要な一歩であった。