1932年（昭和7年）に制作された木村白山監督のアニメーション映画『すヾみ舟』は、日本初のアダルトアニメ作品として知られている。この作品は男女の性的な描写を含む内容であったため、完成直後に当局によってわいせつ物として摘発され、フィルムは押収、監督の木村も検挙されるという事件に発展した。そのため、二巻構成の予定だったが、一巻しか現存していない。戦前にこのような作品が作られていた事実は、日本の表現の歴史を考える上で非常に興味深い事例である。現在、この貴重なフィルムは国立映画アーカイブに所蔵されており、日本初のアダルトアニメとして、アニメーション史の知られざる一面を今に伝えているのである。