1950年に公開された黒澤明監督の映画『羅生門』は、日本の映画史において金字塔的な作品である。翌年の1951年、イタリアで開催されたヴェネツィア国際映画祭において、日本映画として史上初めて最高賞である金獅子賞を受賞する快挙を成し遂げた。芥川龍之介の小説を原作に、一つの事件を複数の関係者の視点から描くという斬新な構成と、光と影を巧みに利用した映像美は、世界中の映画人に衝撃を与えた。この受賞は、それまで欧米にほとんど知られていなかった日本映画の芸術性の高さを世界に知らしめるきっかけとなり、多くの日本の映画監督や俳優が国際的に注目される道を切り開いた。まさに、日本映画が世界へ羽ばたく扉を開いた、日本初の記念すべき作品である。