日本で初めて「雑誌」という形態で刊行された出版物は、1867年（慶応3年）に洋学者の柳河春三によって創刊された『西洋雑誌』である。江戸幕府の洋学研究教育機関である開成所の教授らによって編集され、西洋の科学技術や思想、社会制度などを広く紹介することを目的としていた。特定のテーマについて複数の記事を集めて定期的に刊行するという現代の雑誌の形式は、この『西洋雑誌』によって日本で初めて実践された。残念ながら、版元の事情や編集長であった柳河の死により、わずか6号で終刊となったが、日本のジャーナリズム史、出版文化史においてその先駆的な役割は極めて大きい。まさに、日本初の雑誌として、近代日本の知識の普及に道を拓いたのである。