1884年（明治17年）に神戸港の和田岬に建設された和田岬灯台は、鋳鉄製の灯台としては現存する日本最古のものである。この六角形の優美な姿を持つ灯台は、「日本の灯台の父」として知られるイギリス人技師、リチャード・ヘンリー・ブラントンが設計を手がけた。初代の木造灯台に代わって建設されたこの鉄造灯台は、イギリスの工場で製造された部材を日本で組み立てるという、当時の最先端の工法で造られた。明治期の日本の海運を支え、神戸港の安全を見守り続けたこの灯台は、日本の近代化を象徴する貴重な産業遺産であり、その歴史的価値から重要文化財に指定されている。