太平洋戦争末期の1945年8月7日、千葉県の木更津飛行場において、特殊攻撃機「橘花（きっか）」が12分間の初飛行に成功した。これは、機体だけでなくジェットエンジン「ネ20」も含めて、全てを国内技術で開発した日本初の純国産ジェット機である。戦局が悪化する中、ドイツから潜水艦で運ばれたジェット戦闘機Me262の不完全な資料を基に、中島飛行機と石川島重工業が中心となり、空襲で工場を転々としながらも、わずか1年弱という驚異的なスピードで開発を成し遂げた。終戦のわずか8日前のことであったが、日本の航空技術の底力と執念を示した歴史的な飛行であった。