1970年（昭和45年）7月、川崎重工業で建造された「第十とよた丸」は、日本初の外航自動車専用運搬船である。それまで自動車は通常の貨物船で輸送されていたが、この船は車両を効率的かつ安全に大量輸送することだけを目的に設計された。名古屋港からトヨタ車約2000台を積んでロサンゼルスへ向かった処女航海は、日本の自動車産業が本格的な輸出時代を迎えたことを象徴する出来事であった。この船の成功は、その後の自動車運搬船のスタンダードを確立し、日本の貿易立国としての発展を海運の面から力強く支えた、まさに日本初の画期的な船なのである。