1976年（昭和51年）7月1日、京都府に開設された「あすらや荘」は、聴覚に障害を持つ高齢者のための「日本初」の専門養護老人ホームである。当時、手話の普及も十分ではなく、聴覚障害を持つ高齢者は、コミュニケーションの壁などから社会的に孤立しがちであった。そのような状況下で、専門的な知識を持つ職員が配置され、手話などを通じて円滑なコミュニケーションが図れる環境を整備した「あすらや荘」の開設は、福祉分野において画期的な出来事であった。日本の高齢者福祉の多様性への道を切り拓いた、先駆的な施設である。