日本のモータースポーツの黎明期を象徴する施設が、1936年（昭和11年）に神奈川県川崎市の多摩川河川敷にオープンした「多摩川スピードウェイ」である。これは、オーバルコースとコンクリート製の観客席を備えた「日本初」の常設サーキットであった。当時、自動車レースはまだ珍しく、このサーキットの誕生は日本のモータリゼーションの発展を後押しする大きな出来事となった。戦前のわずかな期間ではあったが、ここで開催された全日本自動車競走大会には、本田宗一郎も選手として出場するなど、日本の自動車史に大きな足跡を残した。